1978年、イラン。9歳の少女マルジャン(愛称マルジ)はパパとママ、大好きなおばあちゃんに囲まれて、しあわせに暮らしていた。しかし革命が起きた後、学校は男女別々、女子はヴェール着用などの法律が制定され、翌年には戦争が勃発、人々は‘風紀取締り警察’や空襲におびえて暮らすようになっていた。それでも恐れを知らぬマルジは‘PUNK
IS NOT DED(パンクは死なず)’のジャケットを着て街に繰り出したり、校長先生に意見したり。大胆なマルジを心配した両親は、この混乱を避けて娘をウィーンに留学させることにする。ティーンエイジャーのマルジはウィーンで仲間たちと楽しい日々を送っていた。いつの間にか大人へと大変身し、恋もする。でも次第に、西欧文化とイスラエル文化のはざまで悩むようになり、自由を手放してでも帰国することを決意する。再び家族の元に戻ったマルジは、さまざまな社会の矛盾や制約の中でたくましく成長していく---自分らしさとおばあちゃんの言葉「いつも公明正大に」を忘れずに・・・
おしゃれやロックに興味を持ち、運命の人に出会い失恋し・・落ち込んでは立ち上がるマルジの姿は世界中のティーンエイジャーの今と何も変わらない。観客はマルジがヴェールを被ってアイアン・メイデンのテープを買いに行く大胆な行動に一緒になってドキドキし、ウィーンに旅立つ前のおばあちゃんの言葉を深く胸に刻み、失恋の痛みに涙する・・・。イスラム文化と西洋文化の間で自分らしい生き方を模索する姿が国や歴史や宗教を飛び越えて少女の普遍的成長物語として共感を呼ぶ。正義感に溢れる毒舌家の祖母と自由主義の母が、ふたりの血を受け継いだ好奇心旺盛で勇敢なマルジを温かく見守る姿、愛情溢れる家族の強い絆が胸を打つ。中でも祖母がマルジに贈る名言の数々は、観客の心にも深く染み入る。例えば「常に公明正大であれ」、あるいは「恐れが人を卑怯にもする」。その一方、ブラジャーにジャスミンの花びらを忍ばせるという女性としての知恵にも事欠かない祖母の存在は、非常に魅力的である。
07年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された本作は上映終了と同時に会場を感動の嵐に包んだ。ボイス・キャストのカトリーヌ・ドヌーヴやキアラ・マストロヤンニを伴って出席していたマルジャン・サトラピ監督は、その反響の大きさに大感激。<ジャスミンの花>を髪飾りに入場したドヌーブは、涙を見せるマルジャンの胸元に髪から外した<ジャスミンの花>を忍ばせ、スクリーンに大きく映し出されたふたりの姿に観客はさらなる喝采を送ったのだった。そして見事に審査員賞を受賞。カンヌ映画祭史上、賞を授与されたアニメーション映画は『ダンボ(47/アニメーション賞)』、『ファンタスティック・プラネット(73/特別賞)』についで3本目である。フランスでは、6月に公開されるや公開劇場館数が本作の3倍もの大作『シュレック3』や『オーシャンズ13』と並ぶ大ヒットを記録した。トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション、ニューヨーク映画祭のクロージング作品にそれぞれ選出されるなど、カンヌから始まった「ぺルセポリス」賞賛の波が世界中に広がっている。
尚、バウスシアターにて上映される英語吹替え版には豪華ボイス・キャストが集結。マルジとママ役はオリジナル版と同じく、実生活でも母娘であるキアラ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴ。そして祖母役にはジーナ・ローランズ、マルジのパパ役にショーン・ペン、アヌーシュおじさん役にイギー・ポップという個性豊かな顔ぶれが実現した。
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