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悲劇に翻弄され、傷ついたひとりの人間。
彼の名前は、昭和天皇、ヒロヒト。
闇は、まだ明けなかった。1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被災を免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。みるみるうちに焦土となる東京。失われる多くの命。うなされるように目を覚ます天皇の孤独。日本は、まだ闇の中にある。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた…。
ソクーロフは、独自の美学に貫かれた作品を発表し、ロシアが世界に誇る映画監督である。世界十二ヶ国で絶賛をうけながらも、日本での公開は不可能といわれたソクーロフ監督の傑作『太陽』が、ついにその封印を解かれる。歴史学を学んだ学生時代に構想したというこの作品を、監督自らが撮影を手がけた緊張感をたたえた静謐な映像の中で、昭和天皇を権力の頂点に君臨する人物ではなく、恐れや弱さを持ったひとりの人間として描き出した。昭和天皇という難役に挑戦したのは、仏リベラシオン紙でも絶賛をうけたイッセー尾形。また、戦争の中で引き裂かれる天皇を愛情深く見守る皇后を桃井かおり、悲しみをたたえた侍従を佐野史郎が演じている。(作品資料より)
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